あらすじ
航空宇宙工学を専攻する大学生の長尾(ながお)あかりは、留学のためテキサス州オースティンに向かっていた。
シカゴ経由のフライトのはずだったが、大雪のため着陸できず、たどり着いたのはジョン・F・ケネディ国際空港——東の果て・ニューヨーク。
振替便まで二時間。
スマホのバッテリーは切れ、世界の終わりみたいな灰色の空の下で焦る彼女に、ペーパーバックを手にした男性が声をかける。
「そこ、通電してないですよ」
その一言から始まる、名前も知らない二人だけの待ち時間。
凍てつくニューヨークの夜、温かいアメリカーノと、空を飛ぶための哲学。
これは、人生のエアポケットを静かに過ごすための物語。