あらすじ
二〇二〇年、九月。
偽りのUMAを巡る物語で、最愛の人を失った浅倉撫子には譲れないものがある。
浜岡光がいないだけで、味がしない日々が続いている。自らの遅すぎる初恋を呪いにしないためにも走り続けると決意したせいで、妥協できないこともあるのだ。
アイドル研究部の部長が、光がいた頃に練習してきた『走れ!』を披露する場所として、文化祭の舞台を用意した。しかし撫子は、光が不在では披露したくないとワガママを貫いてしまい――
「この時期に文化祭の体育館の使用許可をとってきたのはすごいんだよ。それでなにもしないのは、もったいないよ。だから、かわりのことで全力を出せることはないの?」
「兄妹での殺し合いならば全力を出せるわ」
そして、撫子の兄である隼人に相談すると、妹の撫子と似たような提案が出るのだ。
「なら、久しぶりにするかな。兄妹喧嘩でも」
撫子が全てを出し切ってスッキリできる舞台を整えるためならば、誰もが協力してくれる。
演劇をすると決まったら、義理の姉がAIを駆使してあらすじを用意してくれたが、星辰教団とかが登場したら、文化祭での尺ではおさまりきらない。なので、猿蟹合戦のその後を描くことになった。撫子のことが嫌いなクラスメートも、隼人にわからせられたあとなので、死体役で協力してくれる。
さあ、浅倉撫子よ。お前のいまをさらけ出してみろ。
本作は、たぬき85が完結させた『僕はあの子に蹴られて』を読んでいたら、もっと楽しめます。