あらすじ
婚約者であるバロン男爵に裏切られ、借金の肩代わりとして売り飛ばされたリンクス子爵令嬢フェリス。
さらに男爵は「フェリスが不義を働き、駆け落ちした」という虚偽の告発を行い、子爵家さえもそれを信じて彼女を追放する。
すべてを失い、奴隷商人の手に渡る寸前――
フェリスを買い戻したのは、帝国皇帝アーシュ・レーシャーだった。
「金がかかった分は、労働で返してもらう」
そう言われ、皇帝専属のメイドのような立場に置かれたフェリスだったが、
その才能と誠実さは次第に周囲を動かし、やがて皇帝自身の目にも留まる。
一方、極秘調査により明らかになる男爵バロンの罪。
彼はフェリスだけでなく、複数の平民の娘や子どもを売り飛ばし、奴隷商人と深く結託していた――。
皇帝の裁きにより男爵は失脚。
没収された領地は、皮肉にも“売られた令嬢”フェリスへと下賜される。
こうして始まった、フェリス・リンクス領主としての人生。
中央の圧力、商会との対立、見えない政治闘争――
だがフェリスは、感情的な復讐に走らない。
静かに、確実に、条件を積み上げ、
「売られる側」から「条件を出す側」へ。
これは、
溺愛と保護の物語ではない。
派手なざまぁの物語でもない。
奪われた尊厳と立場を、
静かに、正しく、取り戻していく物語。
――売られた令嬢は、もういない。
ここにいるのは、自ら未来を選び取った一人の領主、フェリス・リンクスである。