あらすじ

拝啓、勇者様。 かつて貴女に「役立たずのFランク」と罵られ、パーティを追放された私のことを覚えておいででしょうか。 あの時、泥水を啜った私は、ある奇妙なスキル【人材派遣】に目覚めました。 それは、対象と強制的に雇用契約を結び、その成果(経験値・報酬)の7割を、何もしない私に自動送金させるという、実に現代的で、冷徹な能力でした。 今の私は、剣を握ることも、魔法を唱えることもしません。 ただ、安全で快適な「社長室(ダンジョン最深部)」の椅子に座り、モニター越しに部下たちの働きぶりを眺めているだけです。 ご覧ください。 かつて世界を恐怖させた「滅びの魔竜」は、時給300円でトンネル工事に従事しています。 私の顔に唾を吐いた「盗賊」は、2畳半の個室で終わらない事務処理に追われています。 そして、貴女が頼りにしていた「聖女」は、過労で倒れる社員を即座に全回復させ、24時間労働を可能にする「永久機関の歯車」となりました。 ああ、なんて素晴らしい。 他人のふんどしで取る相撲は、これほどまでに甘美な味がするのですね。 ――さて。 そろそろ貴女にも「招待状(オファー)」をお送りしましょうか。 世界最強の勇者である貴女には、きっと素敵な「広告塔」としての適性があるはずですから。 これは、硝子の檻の中から世界を支配する、とある「経営者」の独白です。

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小説を読もう2026/01/24
  • 現在の作品私は、硝子の檻の中から、いきちを啜って生きることにしたのです