あらすじ

私は激怒した。必ず、かの冗長きわまる導入イベントを飛ばさねばならぬと決意した。 私にはゲームの情緒がわからぬ。けれどもタイムの短縮に対しては、人一倍に敏感であった。 異世界に召喚された元RTA(リアルタイムアタック)世界記録保持者の私は、王の演説をボタン連打でスキップし、物理演算のバグを利用して城壁をすり抜け、召喚からわずか15分で魔王の変身シーン中に攻撃を叩き込んだ。 全ては世界記録(ワールドレコード)更新のため。 愛も感動も、物語の整合性すらも、私にとってはタイムロスのノイズでしかない。 しかし――。 「見よ! 勇者様は壁の中に身を投じ、空間の断裂を修復しておられるのだ!」 「魔王の変身を待たずに断つ……なんと慈悲深く、合理的な戦いぶりか!」 なぜか周囲の王女や騎士たちは、私の奇行を「神の奇跡」や「深遠な配慮」と勝手に勘違いし、私を聖人として崇め奉るのだった。 これは、情緒のかけらもない効率厨の男が、バグ技とグリッチを駆使して世界を救い(壊し)、周囲との温度差に悩みながらも、ひたすら「最速」を目指してリセットを繰り返す、孤独と狂気の記録である。

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小説を読もう2026/01/24
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