あらすじ
大陸歴三四〇年一月。中立国リトセラスの首都ホルンフェルスは、戦火を忘れた貴族たちの狂乱に沸いていた。 若き子爵エルベルトは、そこで二人の女と出会う。
一人は、滅びゆく故郷を背負う冷徹な貴婦人、タフ伯爵エレナ。もう一人は、圧倒的な軍事力を誇る帝国の令嬢、アレッサンドラ。
安全な場所から戦争を劇として消費する日々。 エレナの瞳に潜む絶望を知ったとき、エルベルトは優雅な日常を捨て、地獄へ足を踏み入れる決断を下す。
「さようなら、私の愛した刻(とき)」
愛と裏切り、そして呪い。 城門で手渡された焼き立てのピロシキは、復讐の炎の味がした。 赤く染まったのは、夕闇か、血か、それとも彼女のマントか―。 三人の運命が、凍てつく冬の地平線で交錯する。