あらすじ
精霊の声が聞こえる——
ただ、それだけの力しか持たない少女がいた。
剣を振るう者、魔法を編む者、知を記録する者。
才能ある仲間たちの中で、フィオはただ立っていることしかできない。
精霊は確かに語りかけてくるのに、どう応えればいいのか分からないまま。
星の運行を記した禁書庫〈星巡りの書架〉を巡る旅の中で、
彼女は「役に立たない自分」と向き合い続ける。
それでも歩みを止めず、選び、前に立つことをやめなかった。
やがて訪れる逃走と喪失。
感覚を失うという、取り返しのつかない代償。
それでもなお、フィオは“自分であること”を手放さなかった。
これは、
力を持たない少女が世界を救う物語ではない。
世界が、ひとつの選択を見逃せなくなっていく物語だ。
星は今日も巡る。
彼女の感覚が戻らない未来へ向かって。