あらすじ
精霊魔法を使えない――
その理由だけで「不要」と判断され、家を追われた貴族令嬢セシリア・ローディン。
彼女が送られたのは、魔境に近く、精霊の気配がほとんどない開拓地だった。
形式上は人間の領域だが、住んでいるのは魔族との混血が多く、
これまで領主が実際に住み着いたことはない土地。
「領主が、本当に来たの?」
そんな温度の低い反応の中、
セシリアは使われていなかった屋敷を掃除するところから生活を始める。
精霊に頼らず、自前の魔力と工夫で畑を整え、
少しずつ“ここで生きられる形”を作っていく日々。
やがて、精霊王の機嫌を損ねたことで人間の世界に大飢饉が訪れる。
しかし、精霊に依存しない魔境近くの土地では、作物が普通に育っていた。
「ここは、普通にご飯が食べられるんだね」
行商人の一言で知る、外の世界との温度差。
そして――作物を求めて訪れる、かつてセシリアを不要とした人々。
これは、
精霊に選ばれなかった少女が、
選ばれなかった土地で居場所を築き、
静かに“必要な存在”になっていく物語。