あらすじ
大正時代、売れない作家・平井太郎(後の江戸川乱歩)はスランプに喘いでいた。
「書きたい。けれど、何も思い付かぬ」
ふと気がつくと、平井は見たこともない硝子の塔が林立する街――令和の渋谷に立っていた。 スマホ、SNS、マッチングアプリ。現代特有の陰湿なストーカー犯罪や劇場型犯罪。
現代人たちが『当たり前』として受け入れているその光景は、乱歩にとって、あまりにもグロテスクで、魅惑的なネタの宝庫だった。
「素晴らしい。この狂った怪奇を、小生が小説にしてやろうか」
これは、現代社会に逆転生した乱歩が、いかにして『人間椅子』や『二十面相』を生み出したのかを描く、禁じられた創作秘話である。