あらすじ
地方都市の進学校に通う三人組、ギャルでちょっとしたインフルエンサーのアカリ、
黒髪おかっぱ眼鏡のまじめ少女・ぴりか、そしてクールで口数の少ないニシキ。
学年末考査を目前に控え、試験勉強に追われる中、ぴりかは実家のラーメン屋「らあめん夢原」の悩みをこぼす。
――ラーメンは売れるのに、ギョウザだけがまったく出ない。
ニシキの提案で、「試験前に食べると集中できる」という軽い宣伝をアカリがSNSに流したことをきっかけに、夢原のギョウザは不思議な広まり方を見せ始める。
食べた人は「冴える」と言い、やがて「夢を見る」「余計なことを忘れられる」と噂は変質していく。
一方でアカリは、食べていないはずのギョウザの味を感じ、夢の中で何かを食べ続けるようになる。
忙しさに流され、任せて、止めなかった結果、ギョウザはただの料理ではなく、“何かを引き受ける器”になっていた。
それに気づいたとき、もう戻れないところまで来ていたとしても――
それでも、人は「売り切れです」と言えるのか。
試験、宣伝、善意。
日常の延長線上で起きる、かわいくて、俗っぽくて、後味の悪い怪異譚。