あらすじ
「――故に、無能王女エリーゼを国外追放とする」
冷徹な父王に告げられたその言葉を、私は1,000回目と同じ心境で聞き流していた。
魔力ゼロの「無能王女」と呼ばれた私には、秘密がある。それは、自分と手を繋いだ相手と共に、死の直前から時間を巻き戻す――【運命共有(セーブ&ロード)】の権能。
傍らに跪くのは、近衛騎士リリアナ。
1,000回のループの中で、私を庇い、私を逃がし、最後には必ず私と一緒に断頭台で首を落とされてきた、愛おしい共犯者。
1,001回目の今日。
彼女の脳には1,000回分の「処刑の激痛」が焼き付き、もはや私の体温なしでは呼吸すらままならないほど、その精神は壊れ、依存しきっていた。
「……エリーゼ様、次は……次はどうやって死にましょうか?」
熱を帯びた瞳で縋り付く騎士を連れ、私は王家の宝物庫から最強の魔導具を強奪し、王都を後にする。
目指すは魔境の辺境。
1,000回分の死の知識(ログ)を使い、私たちは自分たちを虐げたすべての人間に、死よりも残酷な「ざまぁ」を刻み込んでいく。
これは、絶望を繰り返した二人が、世界という名の脚本を焼き払い、心中(ロード)の果てに「二人きりの楽園」を築く物語。