あらすじ
むかしむかし、具体的には二三〇〇年くらい前。
古代地中海にあった国エピロスに、一人の男児が誕生しました。
「おぎゃ、おぎゃあ!」
男児はその容貌からピュロスと名付けられ、すくすくと育っていきました。
そして2歳の時、ピュロスは神々の王ゼウスの祭壇に向かって、宣言しました。
「ぼく、せかいいちのつよいおうさまになる!」と。
やがて物心つくと毎日欠かさず肉体の鍛錬(だけ)に励むようになり、その結果、
「おりゃぁ!邪魔だ!どけぇーー!!」
見事に(?)脳筋野郎の超人となってしまうのでした……。
これは、歴史的な知名度ほぼゼロの国エピロスに生まれ、成人したら人間の限界を超えた肉体を手にした一人の男が、「世界一の王」になるという野望を叶えるべく地中海世界を所狭しと奔走し、ただただ周辺諸国に迷惑をかけ、そして自分だけ満足しながら死んでいくまでの物語。
……の冒頭、すなわち、ピュロスが初陣を飾るまでを、面白おかしく書いた歴史小説風コメディである!
注意
本作品は「一応」エピロス王ピュロスに関する史料を参照したうえで書き上げられています。
ですが、作中に登場するキャラには作者による誇張がなされています。
また、有名作品のパロディとおぼしき描写および台詞も含まれています。
そこのところをご了承いただいたうえで、作品を読んでいただけると幸いです(;^_^A。
以下、簡単な人物紹介。
ピュロス
主人公。かつてバルカン半島西部に存在していたエピロス王国の王太子。
父が勉学より狩猟にのめり込む脳筋野郎だったせいで、無事に(?)父と同様の勉学嫌いな脳筋野郎になってしまう。
一応、後世の偉大な戦術家(ハ〇ニバル・バ〇カ)に「世界最高の戦術家」と評された男になるのだが、残念ながら当作品ではその片鱗すら見せることはない模様。
アイアキデス
ピュロスの父。エピロス王家の血を引く正当なエピロス王。
エピロス王家の祖がギリシア世界最強の英雄アキレス(ほぼ不死身の肉体を持つチートマン)の息子ということもあり、自身もその高貴な血筋を絶やしてはならないとの思いから、勉学よりも狩猟での獅子狩りに没頭。
その結果、国家運営をまともにできない脳筋野郎になってしまった模様。
プティア
ピュロスの母で、アイアキデスにとっては愛しの妻。
……なのだが、作中では第2話に出てくるだけで、その後は「とある事件」が原因で夫と、そして息子と離れ離れになり、しかも史書にもその末路が描かれていないので、読者諸君は彼女のことを忘れてもらってかまわん!
グラウキアス
エピロスに隣接する小国イリュリアの王。
「とある事件」が起こった際、ピュロス(とその従者一行)が自分の王宮を訪れてきて、歴史を左右する一大決断を迫られることとなる、本作品でたぶん一番可哀そうなポジションにいる御人。
色々と苦労を重ねた挙句、その苦労もまったく報われないという、本当にただただ可哀そうな御人である(大事なことなので二回言いました)。
カッサンドロス
マケドニア(作中の時代において最強の国)で王の摂政を務める人物。
とんでもない野心家であり、「あー、ボクちん、マケドニアの、あと世界の王さまになりたいなー」とか内心で考えていたりする(作者の誇張が含まれています)。
なお、当作品ではピュロスの父であるアイアキデスにいちゃもんを付けて〇〇したり、その後は彼の息子であるピュロスを執拗に追いかけ回すという、まるで某世界的怪盗の三代目を逮捕すべく世界中を駆け回る某インターポールの警部みたいな立ち回りを見せてくれる(これに関しては史書に記載があるので、あながち間違いではありません!)。
プトレマイオス
エジプト最後の王朝であるプトレマイオス朝の開祖。「救済王」の添え名を持つ御方。
……なのだが、当作品ではピュロスの振る舞いに唖然とし、そして愛娘を彼に取られる可哀そうな役目を負わされるだけの、いわば名のあるモブキャラ的ポジションなので、彼のことは忘れてしまって一向に構わん!
アンティゴネ
エジプト王プトレマイオスの愛娘で、雄々しいタイプの男性が好みの乙女。
父により許婚が決められていたのだが、そこにピュロスがノコノコと姿を現して、その結果……。
デメトリオス
アレクサンドロス大王(作中の時代におけるギリシア最強の英雄)の後継者を自認し、マケドニア王朝を興した大王の元将軍アンティパトロスの息子。「攻囲王」の添え名を持つ。
ピュロスを、彼にとっての初陣であるイプソスの戦場へと誘った張本人であり、その結果、地中海世界を大混乱に陥れるきっかけを作り上げてしまった、作中一の戦犯野郎。
また、作中では諸事情(主に字数制限のせい)で語られることはないが、後にそのピュロスに酷い目に遭わされる運命にになる。
「ピュロス被害者の会」が発足されたら間違いなく名誉会長に就任できるだろう程度には人々の同情を寄せられるだろう御人でもある。
……はずなのだが史書を紐解いてみると、彼は「超絶イケメンでしかも複数人の美しい愛人を抱えていた」とのことなので、やっぱり同情の余地はない(当作品の作者はイケメンでモテる野郎には同情しないのだ!)。