あらすじ
黒船来航。
それは、日本が世界に引きずり出された「表の歴史」だった。
だがその裏で――
すでに百年以上前から、世界に散った者たちがいた。
徳川家康の密命により海を渡り、
交易商、医師、航海者として姿を変えながら生き延びた
伊賀の“草”と、その血を引く者たち。
幕府の関心が薄れ、忠義が忘れ去られても、
彼らはなお、日本の未来を見据え続けていた。
舞台は天保末期から弘化――
アヘンの影が忍び寄り、列強の思惑が交錯する動乱前夜。
出島を拠点に、密かに人と情報を運ぶ一族。
西洋医学を継ぐ者。
そして、もはや命令なきまま動く者たち。
彼らの戦いは、歴史書には残らない。
だが確かに、幕末という時代を“裏”から支えていた。
これは、
改朝換代の陰で消された忠義と、百年を越えて続く戦の記録。
歴史の隙間に埋もれた「もう一つの幕末」が、
いま、静かに語られ始める。