あらすじ
毎朝、同じ時間、同じ電車。
それは、何も起こらないはずの通勤風景だった。
会社へ向かう途中、彼女はふと気づく。
いつからか、同じ車両の同じ場所に立つ、名前も知らない男性の存在に。
視線が合うことはあっても、言葉を交わすことはない。
ただ同じ空間を共有するだけの関係。
それでも、その静かな時間は、彼女の朝を少しだけ特別なものにしていった。
しかし、ある日を境に、彼女はその車両を避けるようになる。
自分の中に生まれた感情に、名前をつけてしまう前に。
再び交差する朝。
そして、最後だと決めた通勤電車。
声に出せなかった想いは、言葉にならないまま胸に残っていく。