あらすじ
「地獄だ。地獄。」
陰気な少年・影山維月(かげやま いつき)にとって、運動会の二人三脚でクラス一の陽気なバカ・天野陽太(あまの ようた)と組まされることは、人生最大の悲劇だった。
歩幅も、テンションも、価値観も、何もかもが噛み合わない二人。周囲の冷ややかな視線に耐えながら、転んでは立ち上がる練習の日々。しかし、底抜けに明るい天野の「一位よりダーウィン賞(おかしな死に方をした人に贈られる賞)を取りたい」という不思議な人生観に触れるうち、維月の閉ざされた心には変化が芽生え始める。
そして迎えた本番、鳴り響く『天国と地獄』。
もつれる足と舞い上がる砂煙の向こうに、彼らが見た景色とは――。
物語は六十年の時を超え、静かな病室へと繋がっていく。
一瞬の祭典から、一生の友情へ。
不器用な二人の、不格好で愛おしい「二人三脚」の全記録。