あらすじ

雨はなんで降るのだろう。空はなぜ晴れるのだろう。 聖武天皇の時代、天然痘や異常気象から政権運営を守るために、国分寺を設立。仏教に教えを請うた。それから当時の党首が部落の中から人柱となる生贄を決め、それを代々排出する家系、国分無天寺を設立。千年以上ものあいだ、生まれた女系は人柱として天命を全うした。 そして二〇二十五年、東京。 今年、アリーシャン海洋沖で海洋断裂が起き、日本海流に影響が及んだ。それ以外にもコロナウィルスや度重なる地球温暖化。それらを防ぐために、また女系は人柱になることを決定された。 猶予は一年間。 雨が降りしきる中。少年、雨霧雷太は憂鬱な気分で登校していた。 彼はバスケのスポーツ推薦で進学校に入学したのだが、部活の練習試合でエースの部長に怪我をさせ、選手生命を絶たせてしまう。それがきっかけで虐められるようになった。 家庭環境もいびつで、母親はホストに入り浸り、ほとんど家に帰ってこない。三歳の妹を学業と、バイトとを両立しながら育児していた。 そんな彼と、人柱である女系――水菜河合が出逢う。 そこから運命の歯車は大きく音を立てて崩れ始める。 河合は悩むことすらなかった。 自分は死ぬために生まれてきたのだ。それしか自身のアイデンティティは無い、と。 彼女が人柱であることを、カミングアウトによって知ってしまった雷太は決意する。 ――彼女に生きる意味を持たせてあげたい。そして可能なら、人柱なんか辞めさせたい。 手前勝手であるのは自覚しているし、自己愛撫なのも理解している。だけど、救えたかもしれない人間を無視する生き方だけはしたくない。 彼女と始めたのは、疑似恋愛。 嘘偽りの恋人同士になり、何事のない日常を、ただ幸福に暮らすことを行った。 それが、人柱には無く、普通の人間にはあってしかるべき「日常」だからだ。そんな瞬間瞬間を一緒に過ごすなかで、疑似恋愛がいつしか本当の恋になった。 猶予は過ぎ、彼女は人柱としての天命を全うすることを迫られる。

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小説を読もう2026/01/22
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