あらすじ
理解することを、諦めた人々の話
純白のドラゴンを巡る混乱は、ついに限界に達していた。
神だと崇める者、災厄だと恐れる者、利用しようとする国家。
無数の解釈が衝突し、世界は疲弊しきっていた。
各国代表が集まった会議で、彼らが下した結論は一つ。
理解しようとすることを、やめる。
ドラゴンを神とも敵とも呼ばず、
ただの「管理不能な現象」として扱うため、
人類はそれに
『特別指定不可抗力事象・聖域龍』
という事務的な名前を与える。
意味を与えず、理由を探さず、
白を白のままにしておくという、
人類史上もっとも静かな敗北宣言。
その頃、当のドラゴンは何も知らず、
居心地のよくなった巣で、ただ眠っていた。