あらすじ
三十六連勤の果てに過労死したシステムエンジニア、佐藤剛造(40歳)。
二度目の人生は、魔法至上主義の王国の第一王子・アルスとして転生していた。
だが、そこは有能な者を「魔力電池」として使い潰す、前世以上のブラック国家。
「二度も社畜(ドレイ)になるなんて御免だ。俺は全力で『無能』を演じ、有給休暇(自由)を勝ち取ってやる」
前世のIT知識を魔法に応用し、自作の「ステルス・パッチ」で魔力を完全偽装。
計画通り「魔力ゼロの無能」として、十七歳の誕生日に待望の解雇通知(追放)を言い渡される。
追放先は、魔物が跋扈する死の荒野。
だが、そこはアルスが17年間かけてリサーチし続けた、古代文明のメインサーバーの真上だった。
「マスター、お迎えにあがりました。……ずいぶんと質素な扱(あつか)いを受けておられたようですね」
呼び覚ましたのは、俺の理想を形にした管理AIセレナと、雲を突き抜ける巨大な浮遊島。
全自動の調理機、魔導インターネット、そして24時間快適な空調。
前世で我慢してきた「本能」を解放し、アルスは地上を見下ろす空中都市で最高の隠居生活をスタートさせる。
一方、アルスという「唯一の供給源」を失った王国は、魔導インフラがバグを起こして崩壊寸前。
慌てて連れ戻しに来た使者に対し、アルスはセレナの膝枕でこう告げる。
「戻ってきてくれ? 残念、うちの島は『ホワイト指針』に反する方の入国は禁止(ブロック)してるんですよ」
元エンジニアの知恵と古代のオーバーテクノロジー。
二つの力を掛け合わせた、自重しない空中国家開拓記が幕を開ける!