あらすじ
魔法がすべてを支配する世界――レガリア王国。
この国では、血中の「マナ(魔力)」の濃度が、貴族か平民か、英雄か奴隷かを決定する。
主人公ロラン・フォン・アシュベルは、名門公爵家に生まれながら、生まれつき魔力がゼロ。
「家系の恥」として蔑まれ、ついには北の最前線――アイギス砦へと追放される。
そこで彼が出会ったのは、毒殺未遂により魔力を失った亡命王子アルベルト。
そして、使い捨てにされかけた「捨て駒」の兵士たちだった。
――だが、ロランには誰も知らない「禁忌の力」があった。
『タクティカル・ビュー(神の視点)』
世界のすべてを数式として視る、超並列演算能力。
彼の視界には、敵の魔法の構造、地形の弱点、未来の戦況が青い幾何学模様として映し出される。
「魔法など、所詮は物理現象に過ぎない――」
圧倒的な魔力を誇る敵を、ロジックと物理法則だけで完封していくロラン。
しかし、その力には恐るべき代償があった。
演算の過負荷により、脳が物理的に発熱し、人間性が順次「削除」されていく――
最初に失ったのは色覚。世界がモノクロに変わる。
次に失ったのは味覚と嗅覚。食事は砂を噛むような苦行となる。
やがて記憶、恐怖心、愛情までもが、冷徹な演算のために焼き切れていく。
それでもロランは、演算を止めない。
仲間を、王子を、そして大陸全土を救うために――自分という「人間」を代償として差し出し続ける。
「僕が消えても構わない。君が笑っていてくれるなら」
追放された「無能」は、やがて大陸最強の軍師となり、
世界を救うための最後の博打――**「魔王」**として、すべての憎しみを一身に背負う道を選ぶ。
これは、感情を失ってもなお「愛」のために戦い続けた、ひとりの少年の救済と破滅の物語――