あらすじ
過労死した編集者・葉月が目覚めたのは、自分が担当していた打ち切り小説『氷の公爵と薔薇の棘』の世界だった。しかも転生先は、物語開始三ページ目で処刑される「名もなき侍女A」という最悪のポジション。処刑まで残り一日——絶体絶命の状況で、葉月の手元にあったのは赤ペンと、自分が最後に校正していた原稿だった。「私が関わった本は、絶対に完結させる」編集者の意地で原稿に設定を書き込んだ瞬間、世界が書き換わる。没落貴族の令嬢・リーゼロッテとして処刑を免れた葉月だが、物語はまだ始まったばかり。悪役令嬢ローズマリーの陰謀、未完で終わった伏線の数々、そして——「お前からは、答えの匂いがする」氷の公爵と呼ばれる男・クラウディスの異様な執着。彼は原作では結末が描かれなかった、孤独な存在だった。赤ペン一本で運命を改変しながら、打ち切り作品を完結に導く編集者の戦いが始まる。未回収の伏線は許さない。キャラクターの幸せは絶対に守る。だって私は——誰よりもこの物語を愛した、担当編集者なのだから。