あらすじ
世界は、願いから生まれた
この世界には、数え切れないほどの世界が存在する。
一つの世界は、さらに無数の世界を内包し、
その世界もまた、新たな世界を生み続けている。
世界が生まれる理由は一つだけだ。
――願い。
最初に世界を生み出したのは、
「無」と定義される空間に存在した神だった。
無とは、何も存在しないという意味ではない。
ただ、現在の人間には観測も認識もできないものを、
そう呼んでいるにすぎない。
その神は、自らの力によって十柱の神を創造した。
十柱の神はそれぞれ願いを受け取り、
世界を創造し、管理する役割を担っている。
だが、世界が増えれば、願いも増える。
すべての願いが秩序を望むわけではない。
叶えられなかった願い、
過剰に叶えられた願い、
矛盾を抱えた願い。
それらはやがて願いの暴走と呼ばれる現象を引き起こし、
世界を侵食していく。
管理のために生み出されたのが、天使である。
天使は願いから生まれ、
無数の世界を管理する存在だ。
しかし、世界の増加に対し、
管理者の数は追いついていない。
願いの暴走によって天使が倒れれば、
その世界は徐々に廃れ、崩壊していく。
さらに、暴走から生じる負のエネルギーは、
願いの消滅後も世界に残り、
秩序そのものを腐食させる。
こうして、
管理されない世界、
浄化されない腐食、
崩壊する現実が、
静かに増え続けていた。
それを食い止めるため、
十柱の神は一つの存在を創り出した。
願いの暴走を止め、
負のエネルギーを浄化するための存在。
その者は、
使命以外のすべてを持たない。
名も、記憶も、居場所もない。
ただ、
崩壊しつつある世界へ向かい、
淡々と役割を果たす。
これは、
無数の世界を巡る物語である。