あらすじ
本星(地球)から遠く離れた乾いた惑星コロニーの片隅、“街の水”を司るアッシュ・ステーション。
そこで給水が止まり、夜の影が笑い始めた。
楠 詩音(くすのき しおん)――神職(エクソシスト)。
彼の武器は、十字架ではなく“聖印”を刻んだ鎖。鍵と珠を切り替え、浄化も拘束も結界も引き起こす。だが、ひとつだけ禁じられた珠がある。赤玉。使えば暴走し、堕ちる。吸血鬼の血に呑まれる。
詩音の血には、吸血鬼の始祖の系譜が濃い。
彼が戦っているのは怪異だけじゃない。
自分の中の吸血鬼の血がもたらす全てのものも彼の戦いであり、彼自身であるのだ。
そして、封印の奥に眠る兄。
始祖ルシアン。美貌と知性と冷静を纏い、低く滑らかな“声”だけで祈りに対抗しうる唯一の存在。何千年も生きて退屈と孤独に飽きたはずの彼は、弟を知って初めて血が沸き立つ興奮を得る。弟を手に入れたい。吸血鬼にしたい。だが手に入れればまた退屈になる――その矛盾を抱えたまま。
詩音と共に地下へ降りる、給水管理見習いの
少女エリス。本星から開発団のために赴任してきた彼女は
体に合わない制服を着て開発団の村のために水の管理をし続けていた。
そんな中過去に封印されたはずの始祖ルシアンの復活の兆しが辺境の街に広がっていく。