あらすじ
永きにわたる旅路の果て、勇者リアンはついに魔王城の玉座へと辿り着いた。
世界を救うため、人々の希望を背負い、ただの一振りで全てを終わらせる――はずだった。
しかし、玉座にいたのは恐怖に震える一人の少女、エリア。
彼女は先代魔王から一方的に力を継承させられ、その強大すぎる魔力に生命を蝕まれていた。
「……私の命は、あと一ヶ月くらい、だそうです」
そう言って儚く微笑む少女を前に、最強と謳われた勇者の剣は動かない。
世界を救うためには、彼女を斬らねばならない。
だが、リアンは剣を鞘に納め、少女に手を差し伸べた。
「お前の最後の願いはなんだ?」
これは、魔王を「倒す」のではなく、その短い余生を「看取る」ことを選んだ勇者の物語。
心を失くした勇者と、余命一ヶ月の魔王。
二人が世界の美しさと残酷さを知りながら、限られた時間の中を駆け抜ける、切ない最後の旅が始まる。