あらすじ

1979年2月。中越戦争のニュースが流れ、世界が激動の予感に震えていた冬の終わり。御茶ノ水、明治大学の無人の講堂に、キース・ジャレットの『ザ・ケルン・コンサート』が凛烈に響き渡る。 ピアノを奏でていたのは、スタインウェイの鍵盤を求めて他校の講堂に舞い降りた、犯罪心理学を専攻する女子大生・森絵美。その調べに引き寄せられたのは、油絵を愛する物理学科の青年・宮部明彦。 「見たわね?」 鋭い言葉から始まった二人の邂逅は、山の上ホテルのバー『ノンノン』での濃密な対話へと溶け込んでいく。ユング、アインシュタイン、ブラッドベリ、そしてペルソナ……。若さゆえの知的好奇心と、東京っ子らしい小粋なプライドをぶつけ合いながら、二人は互いの中に「同じ魂の響き」を見出していく。 これは、スマートフォンもインターネットもない時代、本と言葉と音楽だけを武器に、自分たちの「内面」を探求しようとした若者たちの物語。冷たい小雨が降る御茶ノ水で、一瞬にして重なり合った二つの宇宙の記録である。 読後、あなたの耳の奥にもきっと、あのピアノの第一音が鳴り響くはずです。

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カクヨム
カクヨム2026/01/21
  • 現在の作品「🐟ラムレーズンを一粒 第Ⅰ章」『よこはま物語』③ 森絵美・島津洋子編、雨の御茶ノ水。キース・ジャレットが響く講堂で出会った犯罪心理学を追う少女と物理学を志す青年の恋のセッション