あらすじ
北海道・函館に引っ越してきた高校生・冬島瞬。
ある日突然、父の患者だったという少女・澄と同棲することになる。
戸籍上は兄妹、実際にはほとんど他人同士。
それなのに彼女は、なぜか懐かしく、胸の奥を静かに揺らす存在だった。
病院で育ち、外の世界をほとんど知らない澄は、
何もかもが新鮮で、何もかもを大切そうに受け止める。
幼馴染の晴美温と三人で過ごす日々は、穏やかで、少し不器用で、
どこにでもある青春の一ページのようだった。
だが、その日常の隙間に、少しずつ“違和感”が混じり始める。
街で起こる不可解な事故。
澄のふとした言動に滲む、死や命への異様な距離感。
そして、瞬が感じる「懐かしさ」の正体。
やがて瞬は気づいてしまう。
澄の存在そのものが、普通ではないことに。
彼女は「守られる側」ではなく、
この世界の何かと深く結びついた存在だということに。
それでも瞬は、彼女を失いたくなかった。
一緒に笑って、話して、未来を考えたい。
その想いは次第に「家族」や「保護」を越え、
抗えない感情へと変わっていく。
しかし、澄に近づくほど、
世界は静かに歪み始める。
選ばなければならない。
日常か、彼女か。
正しさか、想いか。
これは、
「大切な人と生きたい」と願うことが、
世界そのものを揺るがしてしまうかもしれない物語。
優しさが、罪に変わるその瞬間まで。