あらすじ
昭和末期、地方都市のパチンコ店で店長を務める「私」は、ある夏の日、刑事の抜き打ち訪問を受ける。
従業員の履歴書を集めた分厚いファイルと引き換えに、刑事は賄賂代わりのタバコを受け取り去っていく。
パチンコ業界では、警察、闇金、在日労働者が暗黙の了解のもとで共存していた。
やがて店内で起きた乱闘事件をきっかけに、主任に対する違和感が浮かび上がる。履歴書のない男、曖昧な名前、警察を避ける態度。
そしてある日、主任は突然姿を消す。
朝鮮人である店長は、「名前」と「差別」という言葉の曖昧さを思い返しながら、冷めたコーヒーを飲み干す。
裁かれない沈黙だけが残った。