あらすじ
これは、貴族でありながら探偵を生業とする幼き紳士の、死に囚われた数奇な人生の物語である。
十九世紀――ロンドン。
テムズ川の北部にあるウィンコット通り。
身寄りのない者や犯罪者が埋葬される大規模な墓のある地区は、髑髏街と呼ばれていた。
髑髏街は貧困地区が近く、治安が悪い上にテムズ川下流独特の異臭が漂い、誰も近寄りたがらなかった。
髑髏街には、死にまつわる事件しか請け負わない貴族探偵が暮らしている。
若き探偵の名は、ルイス・クロフォード。
死者の魂が見えるかの如く事件を解決する探偵は、周囲から「死神探偵」と呼ばれている。
由緒正しい英国貴族クロフォード伯爵の子息ルイスは、死の香り漂う事件しか請け負わない不気味な探偵と周囲から噂されていた。
ある日、クロフォード邸にフランスから貴族の青年が訪ねて来た。
数日前に届いた手紙が彼からの依頼だと、ルイスは手紙の封を切ることなく当てて見せる。
驚く青年の前で、さらにルイスは手紙の内容までぴたりと当ててのけた。
ルイスの推理を目の当たりにした青年は、自殺した従姉オデットについての調査をルイスに頼んだ。
青年の名前はノエル。彼は従姉が自殺するはずがないと思っているようだった。
ルイスは依頼料代わりに、亡くなった双子の兄弟が成長した姿と、自分の肖像画を描くことを条件に依頼を受ける。
ノエルは事件が解決するまでの間、ルイスの邸宅で暮らすこととなる。
異国の女性オデットについて、ノエルが依頼にやってくると予期していたルイスは、オデットに関することを事前に少し調べていた。
ただの殺人事件だと思っていたこの事件だが、調べていくと共にロンドン中を巻き込んだ連続殺人事件との繋がりがあると発覚する。
イーストエンドの殺人鬼と死神探偵、神に愛されているのは果たしてどちらなのか――。