あらすじ
ヴァルディア王国防衛軍に所属するシャルロッテ・アイゼンヴァルトは、十三歳で士官学校に入学し、飛び級で卒業した文武両道の才媛だった。
神や祈りといった根拠なきものを信じず、因果と合理、そして結果だけを拠り所に生きてきた彼女は、紛争地域の最前線で戦い続けている。
七年ぶりに帰郷した故郷で、家族とともに乗っていた馬車が賊に襲われる。
迷いなく敵を斬り伏せ、生き延びたはずの彼女を待っていたのは、信仰深い両親からの激しい拒絶だった。
「人を殺した娘」を受け入れられない両親の言葉は、正しさだけを信じてきたシャルロッテの心を容赦なく切り裂く。
居場所を失い、雨の中を彷徨った末、彼女が辿り着いたのは同期の軍人、アレックス・グライフェンの家だった。
そのとき、シャルロッテは自分の身体と世界に、説明のつかない異変が起きていることに気づく。
これは、正しさを武器に生きてきた少女が、人との関係、信仰、政治的思惑、そして戦争の現実に翻弄されながら、感情と居場所を再構築していく物語。
章ごとに異なる人物の視点から描かれる群像劇として、ひとつの選択が他者の運命をどのように変えていくのかを描いていく。