あらすじ

「さよなら、私のベースノート」 東京の西端、静寂が支配する「旧九条植物園」。 言葉をじず、土の沈黙に寄り添う管理員の櫂(かい)。 自身の「真実」となる香りを求めて彷徨う調香師の瑞希(みずき)。 雨の匂いーーペトリコールが二人を引き寄せた。 共に土を練り、香りを紡ぐ日々。しかし、指先が触れそうになる「ーミリの空白」を越えられないまま、無情な嵐が二人を分かつ。 瑞希は最後の一滴を見つけられぬまま、再び海を渡った。 けれど、雨の記憶は消えなかった。 舞台は日本から、灰色の空が広がるパリへ。 瑞希を待っていたのは、天才調香師ジャンと、理知の器を守るセリーヌ。 新たな地で絡み合う四人の運命と、静かに忍び寄 る終焉の気配。 これは、雨の匂いに人生を狂わされ、実り、そして救われた者たちが、失った「最後の一滴」を手繰り寄せるまでの物語。 重ならない指先が、三年の時を経て辿り着く「答え」とは。

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カクヨム
カクヨム2026/01/20
  • 現在の作品雨の匂いを手繰る――すれ違う感情、交わる献身