あらすじ
「……あーめん」
一九二八年の秋。あの【最後の世界戦争】から十年の月日が流れた。
当時六歳だった私――ホーゲツ=リヒトでも、その戦争について知っている。
でも、知っているだけだ。分かってはいない。分かる機会も、きっともう訪れない。
それは素晴らしいこと、幸せなこと、決して否定してはならないことだ。
だから、私は絵筆を燃やした。【本物】が分からないなら【偽物】しか描けないなら、私が持っていてもしかたない。
これからは正しく生きよう。このハリボテの平和を心のそこから喜べるようになろう――。
「そうですっ、UFOを作っちゃえばよかったんです!ホーゲツさんっ、また明日です!」
「……また明日」
あのオカシナ少女――ユメカとの邂逅が始まりだった。
「コッチは可能性を信じる君たちのよき隣人として、世界を面白く書き変えるペンとなろうっ!今こそが革命の時なのだっ、我々は始まりを告げる語り部っ、我々はヤツらのような裏切り者にも敗北者にも甘んじるつもりはないのであるッ!」
「……なんだね。その怪しげなカルト宗教みたいな煽り文句は」
そこに、これまたオカシナ同級生――モミジが食いついて。
「これが現時点で考えうる、理論上到達可能なUFOだ。他の設計書とかは置いていくから好きに使ってくれて良い」
「……マジですかあ」
そしてオカシナ大人――ラナルーさんが、それを夢想から目標に変えた。
これは、UFOを作る物語。
これは、偽物を本物にしようと足掻いた物語。
これは、ハリボテの平和へ【実弾】を撃つ物語。
これは――。
「……どうして……どうして、こんなものが作れてしまったんだよ」
これは、私が大切なモノを失うまで物語。