あらすじ
人が捨てた願いは、どこへ行くのだろう。
山間の廃村・静峰村には、かつて「影受の儀式」と呼ばれる禁忌が存在していた。
村人の願いを集め、均し、山へ返すための儀式。
それは人を救うためのものであり、同時に、人を人でなくす仕組みでもあった。
儀式は廃れ、村は消えた。
それでも、山に刻まれた“空席”だけは解体されないまま、今もなお満ちるものを求め続けている。
人ならざるものを解析し、解体することを生業とする師匠と、
感受性が高すぎるがゆえに「見えすぎてしまう」弟子・水無瀬薫。
とある事件をきっかけに、二人は静峰村の跡地へと踏み入る。
そこで明らかになるのは、願いを均すために捨てられてきたものと、
“同じであること”を強いられた人々の思想だった。
これは、願いを受け止めるための席を巡る物語であり、
それを解体しようとする者たちの記録である。