あらすじ

港町ルーシェで暮らす青年レインは、妹エリナと慎ましくも温かな日々を送っていた。 海に出て魚を獲り、町の人々に支えられながら生きる――それが彼の世界のすべてだった。 だがある夜、空が裂け、黒い霧が町を飲み込む。 逃げる途中、レインは妹の手を失った。 翌朝、町も人も、すべてが消えていた。 絶望の果てに辿り着いた氷の大地で、レインは“声”と出会う。 それは世界そのものが語りかけるような存在だった。 「守りたいか」 代償として人であることを失うと知りながら、彼は契約を結ぶ。 その背に生まれた翼は、祝福ではなく呪いだった。 守護者となったレインは、災厄の兆しが現れる地に現れては戦い、去る。 感謝されることはなく、恐れられ、追い出され、それでも彼は戦い続ける。 守るために力を使うたび、世界は少しずつ歪み、彼自身も人でなくなっていく。 やがてレインは知る。 災厄も、守護者も、世界の破壊と再生も、すべては“循環”として仕組まれていたことを。 そしてその中心に、失ったはずの妹エリナがいることを――。 守るために神に選ばれ、 守るために世界を壊し、 守るために神を殺す。 これは、誰かを守るために力を使い続けた青年が、 最後に運命そのものを殺す物語。 翼が消えたその先で、 世界は、静かに続いていく。

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小説を読もう2026/01/20
  • 現在の作品『翼が消えた世界で』 ――守るために神を殺した、名もなき青年の物語