あらすじ

俺は、勇者になるはずだった。 王国に生まれ、 剣の才能を授かり、 光の魔法に選ばれ、 周囲からそう期待されてきた。 だから王立魔法学園に入学したときも、 それが当然だと思っていた。 ――あの少年に出会うまでは。 彼の名は、アルト。 平民出身で、特別目立つわけでもない。 なのに不思議だった。 彼がいると、負けない。 彼が後ろにいると、俺は前に出られる。 けれど彼は、 決して剣を抜こうとしなかった。 危機のたびに、 彼は一歩引いて状況を整える。 俺が勝ったことになり、 彼は誰の記憶にも残らない。 最初はありがたかった。 次に、違和感を覚えた。 やがて、怖くなった。 ――俺は、本当に勇者なのか? 世界が揺らぎ始めた頃、 俺は初めて知る。 彼が隠していたもの。 彼が、勇者にならなかった理由。 そして理解する。 この物語は、 勇者の物語ではない。 俺は勇者になれなかった。 いや―― 勇者でいることしか、選べなかった。

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カクヨム
カクヨム2026/01/19
  • 現在の作品勇者になれなかった少年