あらすじ
婚約破棄――それは、令嬢にとって「終わり」を意味するはずだった。
名誉を失い、居場所を失い、静かに追放されていく存在。
けれど彼女は、その瞬間、微笑んでいた。
完璧であること。
美しく、正しく、期待に応え続けること。
そうやって生きるのが“幸せ”だと、ずっと教えられてきた。
嫌なことは嫌な顔をせずにやる。
本心は胸の奥に押し込めて、誰にも見せない。
それが「令嬢」としての正解だったから。
――でも、婚約破棄を突きつけられたその日。
彼女は初めて、自分の人生から解放される。
これは、失った物語ではない。
奪われた物語でもない。
「私」として生きることを選んだ、一人の少女の物語。
婚約破棄された令嬢は、
なぜ幸せそうだったのか。
その答えは、彼女が“令嬢”であることをやめた先にある。