あらすじ
「――聖女リリアーヌ・フェリス。貴女は、世界の穢れを吸い込みすぎた」
オルラシア王国の慈愛の象徴、聖女リリアーヌ。彼女は人々の穢れを浄化し続けた代償として、自らが「災厄の器」となり、処刑される運命にあった。
その息子であるエインは、病に伏した前世で培った歪んだ執着心――あらゆる物事を最短距離で「攻略」する狂気を呼び覚ます。 彼が導き出した唯一の最適解は、禁忌の術による【因果の転譲】。 母が背負うはずの呪い、穢れ、そして「死の運命」のすべてを、自分の五歳の肉体へと引き受けることだった。
儀式は成功した。 母の肌からは呪紋が消え、彼女は聖女としての「光」を取り戻した。 代わりに対価を支払ったエインの肉体は、見るも無残な変貌を遂げ、その身には逃れられぬ【聖痕汚染度】が刻まれる。
「――悪魔だ! 聖女様から穢れを盗み出した怪物を殺せ!」
真実を知らぬ聖騎士たちは、エインを「穢れを奪った大罪人」として指名手配し、その刃を向ける。 かつて愛してくれた母の瞳にさえ、自分への恐怖の色が宿る。
それでいい。 俺を憎め。俺を追え。俺を殺そうと、その剣を振るえ。 お前たちの憎悪が俺に集まるほど、母さんは「聖女」として救われる。
これは、人であることを止めた【身代わり】の怪物が、世界すべてを敵に回し、たった一人の幸福を完遂するための、最も孤独で効率的な攻略記録。