あらすじ

オカルト誌のライター・島野は、県境に近い寒村・五百田村の取材を任される。村で年に一度行われる小さな祭りでは、神事のたびに「一つだけ空いた椅子」が用意され、誰もそれに触れようとしない。空席は、最初からそこにあるものとして扱われていた。 同行するのは、元同期の飯坂。彼女は一年前、五百田村を取材したチームの一員だったが、取材中に編集長が失踪し、企画は凍結された。村の異常性を訴えた彼女は、やがて編集部を去っている。 再取材を進めるうち、島野は奇妙な符合に気づく。五百田村では祭りのたびに外部の取材者が一人ずつ姿を消し、編集部でも古株の記者が「最初から存在しなかったかのように」扱われ始めているのだ。そして次第に、飯坂自身の存在も周囲から認識されにくくなっていく。 二人は、この村の信仰が神ではなく「空いている席そのもの」を対象としたものであり、一席につき一人が欠ける構造を持つことを突き止める。席が空くこと自体が目的であり、失踪はその結果にすぎない。 迫るタイムリミットの中、島野と飯坂は信仰の前提を崩すための賭けに出る。一つの席に、一人ではなく二人で向き合うという選択だ。 「空いていること」を祀る村の信仰と、記録する者とされる者が共に抗う行為を描く、現代怪異譚。

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小説を読もう2026/01/19
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