あらすじ
冬の朝、通学路の雪の上でアオが拾ったのは、片方だけの手ぶくろ。
冷たいはずなのに、なぜか中はほかほかで、縫い目が「ちかっ」と光る。
おばあさんは言う。
「片方の手ぶくろはね、ひとつぶんのあったかさを分けるために落ちてくることがあるんだよ」
アオはその手ぶくろを持って外へ。
バス停で手が冷えたおじいさん、迷子で泣く小さな子、雪かきをするおばさん――
困っている人に声をかけ、手ぶくろをそっと渡すたび、町の雪は星くずみたいにきらきら光っていく。
けれど、何度も分けるうちに手ぶくろのほかほかは弱くなってしまい……。
「もう、あったかくできないのかな」
そんな不安の先でアオが出会ったのは、片手だけポケットに入れて探している持ち主の子だった。
最後に返した「ありがとう」が、いちばん大きなきらきらになる。
片方だけでも、だれかを温められる――
冬の町にやさしさが連鎖する。