あらすじ
この世界では、生まれて十年が経つと人の頭に「ツノ」が生え、その由来となる存在の力を扱えるようになる。ツノは力であり、価値であり、社会の序列そのものだった。神話的なものから現実的なものまで、ツノの種類は多岐にわたる。
ツノを持たない者も存在する。
かつては露骨な蔑称で呼ばれていた彼らは、近年「アブーノーマル」と呼ばれるようになった。言葉は穏やかになっても、扱いは変わらない。彼らは社会の底辺で、見下されながらも“普通の生活”を送ることを許されているだけだった。
土方無川(ひじかた むけい)はツノを持たない少年である。
学校ではいじめを受けている。ガッツリ殴られ、蹴られ、金を取られ、だがそんなことは誰も問題視しない日常。父親はツノ持ちの後輩にパシられ、上司に責任を擦りつけられながらも職を失わずに働いている。母親もまた、周囲からの理不尽を飲み込みながら家庭を支えていた。
苦しいが、生きてはいける。
理不尽だが、明日も来る。
無川はそうやって、耐えながら生きてきた。
しかしある日、学校から帰宅した無川を待っていたのは、生活の気配を失った家のみだった
翌日、ニュースでは犯罪者としてなぜか両親が挙げられ、雑に死体は捨てられた。
これも“アブーノーマル”として生きてきた結果なのか。
「異常」とは何か。
壊れてしまった心は終わりなき復讐を求め始める。