あらすじ
「――婚約破棄?
ええ、賛成です。私は私の人生を生きますわ」
そう口にした時、令嬢は初めて気づい
た。
自分がこれまで、どれほど多くの「嫌」を、微笑みの奥に押し込めてきたのかを。
名門貴族の令嬢として生まれ、
美しく、正しく、期待に応える人生。
嫌なことも嫌な顔ひとつせず引き受け、
「令嬢」として完璧であることを求められてきた。
婚約者が見ていたのは、彼女自身ではなく、立場と地位と世間体だけ。
――私を、誰も見ていない。
そう気づいた令嬢は、突き出された婚約破棄に印を打つ。
その結果、彼女に下されたのは事実上の追放。
けれどそれは、彼女にとっては罰ではなく解放だった。
誰の期待もない場所で、
「美しく生きること」を強制されない世界で、彼女は初めて、一人の「私」として生き始める。
これは、
ざまぁでも復讐でもない。
選ばれなかった物語でもない。
選ぶことを、やめなかった令嬢の物語。