あらすじ
あらすじ
『お客様は神様なんですか?』
都内のとある飲食店で働く、美園ハヤオ(みその・はやお)32歳。
彼は今日も、完璧な笑顔と丁寧すぎる敬語を身にまとい、店に降臨する「神様」たちを迎え入れている。
説教を始める神。
自称常連として振る舞う神。
距離感を履き違えたタメ口神。
飲むほどに記憶を失う神。
会計の瞬間だけ奇跡を求めるポイント神。
5大神。
彼らは決して悪人ではない。
ただ、自分が「神」であることを、疑っていないだけだ。
美園ハヤオは一度も声を荒げない。
一度も本音を口にしない。
その代わり、頭の中では容赦なくツッコミ、皮肉り、世界を切り分ける。
――神様って、こんなに忙しい存在だっただろうか。
客として来店し、神として振る舞い、
酔いが醒めれば、また普通の人間に戻っていく神様たち。
そんな夜を繰り返す中で、美園はふと気づき始める。
この店でいちばん「神様」らしい存在は、
理不尽を飲み込み、感情を隠し、
それでも店を回し続けている自分たち接客側なのではないか、と…。