あらすじ
公爵令嬢イネスは、乙女ゲームの世界に転生していることを幼い頃に思い出した。
しかも自分は――
王太子に初恋をこじらせ、闇落ちする未来確定の悪役令嬢ポジション。
「そんな結末、絶対に嫌です!」
そう決意したイネスは、光の力を持つ聖女として覚醒し、前世由来の予言能力も活用しながら、物語の中心人物である王太子とヒロインから徹底的に距離を取ることに成功する。
社交免除の立場を最大限に利用し、
王太子とも、ヒロインとも深く関わらないまま――
ついに迎えた、乙女ゲーム本編のクライマックス。
ヒロインと王太子の結婚式は、無事に執り行われた。
物語は、終わった。
その後イネスは、女性ばかりの聖女・魔法士育成機関である「塔」に就職し、好きな研究に没頭する、平穏で自由な日々を送っていた。
――十年後、まさかの知らせが届くまでは。
ヒロインの死。
そして、王太子の再婚話。
遺されたのは、王太子と、幼い王子ルイ。
公爵令嬢としての身分、
聖女としての功績、
そして何より誠実な人柄から、
再婚相手として選ばれたのは――イネスだった。
「私は、ルイ王子を育てるための後見人でいい」
そう割り切って再婚したはずなのに、王太子の様子が、どこかおかしい。
完璧で、冷静で、まるで人形のようだった王太子。
その仮面の奥に隠されていた、本当の想いとは――?
闇落ち回避に全力を尽くした聖女が、
物語の“その後”で、静かに、そして深く愛されていく再婚譚。