あらすじ

美術学生の「僕」は、肺結核で入院中の妹を励ますため、その輝く姿をキャンバスに写し取っていた。 しかし、届いた一通の召集令状(赤紙)が、平穏な日々を切り裂く。 「なぜ、私はこんな時代に生まれたのか」 人を殺したくない。ただ、絵を描いていたい。 涙を拭ってくれた妹の「待っています」という言葉を胸に、僕は死地へと向かう覚悟を決める。 出発前、祖母と訪れた「無言館」。 そこには、かつて戦場へ散った画学生たちの「遺作」が並んでいた。 一枚の古びた絵画――『編み物をする婦人』。 剥がれ落ちた絵の具の跡、そこに記されたモデルの名を目にした瞬間、祖母は静かに涙を流し始める。 これは、時代に翻弄されながらも「美」を信じ、命を刻もうとした者たちの、愛と祈りの物語。

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カクヨム
カクヨム2026/01/18
  • 現在の作品無言の祈り