あらすじ
三十五歳、再就職もままならず、親戚の家の蔵整理で日銭を稼ぐ男・佐藤はじめ。
埃にまみれた蔵の奥で、彼は『若返り』と書かれた奇妙な瓶を見つける。事故のように飲み込んでしまったその液体は、何事も起こらなかったかに見えた――ただ一つ、死を待つだけだった老犬を除いて。
やがて明らかになるのは、それが「時間を戻す薬」ではなく、生命を若返らせる“仕組み”そのものだったという事実。
効果は限定的で、代償も大きい。それでも若さを失った人々は、その奇跡にすがらずにはいられない。
バブル崩壊後の日本を舞台に、若返りという甘美な誘惑が、人の人生と倫理を静かに侵食していく。
これは、救いか、それとも新たな地獄か。