あらすじ
幼い頃から斬ることしか知らない少女──リナ。彼女を拾い育てたのは、かつて〈剣鬼〉と恐れられた剣士だった。感情を殺し、命令のままに刃を振るう日々。剣だけが彼女の存在理由だった。ある日、病に倒れた師は告げる。
「最後の命令だ──俺を斬れ」
命令に従い、リナは師を斬る。
「もっと広い世界を知れ。お前はもう……自由だ」
その遺言を胸に、リナは一振りの刀を手に山を下りる。そこは言葉と感情が交差する世界だった。食堂の皿洗い。冒険者パーティへの加勢。鍛冶屋の手伝い。旅商人の護衛。世間知らずでポンコツだが、懸命に仕事をこなすリナは、人々から親しみを込めて〈バイト剣士〉と呼ばれるようになる。
だがこの世界は、騎士が支配する理不尽な世界でもあった。利己的な正義も秩序も全ては騎士のもの。〈魔力無し〉でありながら、伝説の剣鬼を超える〈神の剣域〉に至る少女は、理不尽を斬るために再び剣を手に取る。
その在り方に惹かれ、聖女。暗殺者。剣聖。
世界の〈傑物〉たちが、次第に彼女のもとへ集い始める。
剣は、ただ命を奪うためのものではない。
人の弱さも、醜さも、そして優しさも──そこに確かに在るのだとリナは知っていく。
これは剣しか知らなかった少女が〈人として生きる意味〉を知る──異世界剣客譚。