あらすじ

大陸歴一〇九八年、冬。  北の凍土を支配した聖バルバロス帝国は、今夜、革命の炎に包まれ滅びようとしていた。  城外から響く砲撃音。逃げ惑う近衛兵たち。  だが、瓦礫の積もる玉座の間には、二人の男だけが残っていた。  一人は、国を傾けた稀代の暴君・皇帝ヴァルト。  もう一人は、皇帝が命じた数千の首を落としてきた巨漢の宮廷処刑人・ギデオン。  暴徒たちの汚い手でなぶり殺されることを拒絶した皇帝は、最も信頼する「凶器」に最後の勅命を下す。 「ギデオン。余を殺せ。あの豚共の手ではなく、お前のその使い古した手斧で」 「……御意」  それは忠誠か、執着か。  無骨な指が、白く華奢な頸椎の隙間を探り、錆びた刃が吸い込まれていく。  言葉はいらない。首と胴を分かつ、その断絶の瞬間こそが、二人にとっての永遠だった。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/01/18
  • 現在の作品皇帝の首