あらすじ
王国の英雄ヴァルド公爵の謀略により、無実の罪で公開処刑された騎士グレイ。 無念の中で死んだ彼は、処刑の三日前に時を遡る。
剣で挑んでも、権力と武力を誇る英雄には勝てない。ならば、奴が何よりも愛し、大切に隠し育ててきた“唯一の希望”を奪うしかない。
ターゲットは、ヴァルド公の息子アステル。父の悪行を知らず、穢れなく育った心優しい少年。
グレイは正体を隠して少年に近づく。最も残酷なタイミングで「壊す」ために、まずは友として信頼を得ようとしたのだ。
しかし――誤算が一つだけあった。 アステルは、復讐者が毒気を抜かれるほどに、あまりにも真っ直ぐで「善い子」だったのだ。
「師匠! 見てください、マメができました!」
「師匠のような、強い騎士になりたいんです!」
向けられる眩しい笑顔。純粋な尊敬の眼差し。グレイの心に、本来あるはずのない感情が芽生え始める。
父の罪を知らぬ少年と、その父に殺された復讐者。奇妙な師弟関係の果てに、グレイが少年に用意することになる“卒業試験”とは――。
これは、英雄が悪魔に堕ち、復讐者が“人”を取り戻そうとする、灰色の三日間とその後の物語。