あらすじ
内容紹介
聖女ポーラ・スターは、引きこもっていた。
人と話すことができず、部屋から出ることもできず、
彼女の意思表示は、扉に貼られる小さなメモだけだった。
「西の街道でがけ崩れが起きます」
「今日は、クラムチャウダーが食べたいです」
祈らず、姿も見せず、奇跡を誇示することもない聖女。
その存在は次第に「役立たず」と見なされ、
王太子リチャードから一方的に婚約を破棄され、聖女の地位も解かれる。
──だが、その日を境に、王国は壊れ始めた。
天候不順、嵐、洪水、冷害。
新たに任命された聖女は奇跡を演じるが、世界は救われない。
誰もが気づかぬまま、
「何もしない聖女」が、実はすべてを支えていた事実だけが残されていた。
扉の向こうで静かに生きる少女と、
毎日声をかけ続ける精神科医フォージャー。
失われていく王国と、取り戻されていく一人の人生。
これは、
祈らない聖女が選んだ、
誰にも支配されない静かな結末の物語。
『引きこもり聖女は祈らない』
ざまぁは声高でなく、
救いは奇跡ではなく、
その扉の向こうに、確かにあった。