あらすじ

歴史学者の祖父・銀蔵の遺品を整理していた銀杏樹里は、温もりを帯びた一枚の古い銀貨と「9.25の記憶を辿れ」という謎めいた日記の一文を見つける。銀貨には血のような染みがあり、その隣には白金財閥の隠し子・白金銀次郎という青年の写真。彼は1923年、関東大震災の日に刺殺され、事件は迷宮入りしていた。  やがて樹里は銀貨の不思議な力に導かれ、大正時代へと時間を越えて飛ばされる。時代の街並みの中で出会った銀次郎は、心優しく誠実な青年で、婚約者・菊乃と結婚を控えていた。彼が父・白金金造の隠し子として冷遇されていること、震災を利用して財産を奪おうとする父と兄に狙われていることを知った樹里は、彼を救おうと警告するが、銀次郎は「息子として認められたい」と運命を受け入れる決意をしていた。  やがて震災が発生し、混乱の中で銀次郎は兄によって刺殺され、最期に「菊乃を守ってください」と言い残す。樹里はその声を録音し、彼の無念を背負って現代へ戻った。調査の末、銀貨の血痕のDNAが自身と一致し、銀次郎が自分の直系の先祖であることを知る。祖父が白金財閥と争っていたのも、その真実を暴くためだった。  樹里は銀次郎の証言と資料を手に白金財閥の令嬢・麗華を訪ね、彼女と共に家の罪を明らかにする。財閥は過去の犯罪を認め、謝罪と名誉回復を行った。樹里は銀貨を博物館に寄贈し、銀次郎と菊乃の記憶を後世に伝えることで、百年越しの真実をつなぐ。満月の夜、銀杏の下で樹里は祖父と銀次郎の声を感じ、静かに微笑む。――記憶は時を超えて生き続ける。

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エブリスタ
エブリスタ2026/01/17
  • 現在の作品銀貨の記憶