あらすじ
三玖は、三年前の失恋以来、恋愛から距離を置いて生きていた。
三十歳の誕生日、姪の付き添いで訪れたライブハウス。
場違いな空気に戸惑う中、偶然出会ったのは、人気バンドのボーカル・瑠衣だった。
派手で遠い存在のはずの彼は、なぜか三玖に強く興味を示す。
最初は戸惑い、警戒しながらも、静かな場所で聴いた瑠衣の歌に、三玖の心は少しずつ解けていく。
彼とは四年前、路上ライブで出会っていた。
雨の夜、何気なく差し出した一本の傘――
「ちゃんと俺の歌を聞いてほしい」
これは、聞き逃していた歌が、もう一度届くまでの物語。
そして、静かに始まろうとする恋の、予感の話。