あらすじ

怪異について調査を行う記録者は、今日も資料室で古いファイルを読み返している。 声を失った者。 病に侵された者。 死ねなくなった者。 頼れなくなった者。 頼られなくなった者。 そこに綴られているのは、数え切れないほどの「救われなかった記録」だった。 それらを辿るうち、記録者は一つの仮説に行き着く。 ――これは、人間の願いが誤った形で叶えられた結果ではないのか。 一方で、確かに正しく叶えられた願いも存在する。 勇気を出したいという願い。 誰かに手を伸ばしたいという願い。 それらは、確かに人を前へ進ませていた。 では、願いがなければ、人は生きていけないのだろうか。 それとも――願いがあるからこそ、人は道を誤るのだろうか。 記録者は思考実験を始める。 「願いのない世界」を想像しながら。 これは答えを示す物語ではない。 願いと選択、その境界を見つめ直すための記録である。 ここまでの短編の集大成となる作品です。

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カクヨム
カクヨム2026/01/17
  • 現在の作品鏡花水月